So-net無料ブログ作成
検索選択

未来サイト 1話~10話 [小説 未来サイト 全49話]

 未来サイト あらすじ
 1話 2057年    少女のならわし
 2話 2006年4月 新居、そして羽ばたき
 3話 2006年4月 不審者
 4話 2006年4月 光
 5話 2006年5月 漫才
 6話 2006年6月 定食
 7話 2006年6月 高校時代
 8話 2006年7月 コンパ=バトル
 9話 2006年7月 渋谷
10話 2006年7月 大泣き



おもな登場人物
  • 真理(マリ)
      青森の高校を卒業を期に東京へ上京。現在は東京の大学へ通う。
  • 由香(ユカ)
      真理の幼馴染みで小中高校と一緒。真理と上京して同居生活を始める。
  • 南 竜馬(ミナミ リョウマ)
      真理と同じ大学に通う同学年。将来は福祉の仕事に就きたい。
  • 朋生(トモキ)
      同じく真理と同年生。あだ名は『ヤサ男』。格闘技マニア。
  • 弘志(ヒロシ)
      同じく真理と同年生。のちに合コンキングとなる。
  • 小林 隼人(コバヤシ ハヤト)
      未来サイトで出会う社会人。趣味は空手。
あらすじ
 真理と由香は将来の目的や目標もなく、ただ大学に進学した。そこで個性豊かな面々と出会い、学生生活を応化し成長していく。
 真理は、あるきっかけで未来サイトという出会い系、もしくはお見合いサイトのようなサイトに飛び込み、小林 隼人と名乗る男性と知り合う。
 真理と由香は、恋愛、友情、はたまた家族愛に触れ、将来や未来の明るい兆しが見え始めるが・・・・・

お詫び
素人の作品なので、至らないところや足りない部分も多々あるかと思いますが、何卒ご愛読をよろしくお願い申し上げます。ちなみに登場人物などはフィクションであり、空想上のお話です。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



1話 2057年 少女のならわし

 少女は、湯呑をのせた丸い盆を胸元まで持ち上げ、長い廊下をそろりそろりと歩く。
廊下の突き当たりの扉で、少女はうまく片手で丸盆を持ちながらドアノブを回す。湯呑から何かが少しこぼれたようだが気にはしない。
 扉を開けると一人の老女が背中を向けてデスクに食い入る。少女はゆっくりと丸盆を別のテーブルに置いたが、ここでも湯呑から何かがこぼれたようだ。
「持ってきたよ!」
と誇らしげに少女は言うが老女からの応答はない。恐る恐るデスクの横から覗くと、天窓の光とデスクの上のパソコンの光が、老女を中世の絵画のように映し出していた。
 少女の視覚からは老女の涙が、更に美化されていたのかも知れない・・・。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



2話 2006年4月 新居、そして羽ばたき

 青森の高校を卒業した真理と由香は、東京での新しい学生生活を始める。
 真理と由香は小学校からの幼馴染みで、高校卒業を期に東京の大学へ進学しようと決めていた。予定通り、親元を離れて新しい世界と空間を手に入れた。新しい世界ではあるが、将来の目標や目的はなく、ただ漠然と、ただ何となく東京を選んだ。
 二人の同居生活はスムーズに運んだ。気の知れた者同士、事無く上京を果たす。由香は若干のトラブル(男絡み)はあったものの、混乱はなく新年度を迎えた。

 大学の入学式を終え、校舎から正門へ抜ける真っ直ぐな通りでは、小さな神社で行われる祭りを思わせるような出店が左右に並んでいた。のぼりやたすきを掲げて新入生を勧誘するサークルが所狭しと並び、大声を張り上げる者や、ターゲットを絞ってホストクラブのキャッチを思わせる話術で、言葉巧みに誘いこむ。
真理と由香は獲物を捕らえる罠を掻い潜り正門へと向かうが、すでに複数の捕獲者に囲まれていた。
これから大きく羽ばたくはずの二羽の鳥は、すでに鳥籠の中にいた。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



3話 2006年4月 不審者

 18年間手入れを続けた羽は、誰よりも高く遠くへ飛ぶために美しく仕上げられていた。その美しさに魅かれた捕獲者たち、あるいは雄鳥の求愛行動を取り始める。
「ねぇねぇ、新入生?うちのカラオケサークルに入らない?」
「テニスサークルはどう?夏休みは合宿もあるから楽しいよぉ!」
真理と由香はサークル勧誘の嵐の中にいた。
真理はサークルを勧める連中に圧倒され、歩幅が短くなり始めていた。その時、由香に右腕を引かれ、
「さっさと行くよぉ。はいはい、まっっったくもって興味ありませんから!!」
とサッとすり抜ける。人波を越えたと思えば、すぐさま第二波が訪れる。次の波も由香の鋭い足取りで難なくかわす。
「真理、気を付けなよぉ!?怪しい男がいっぱいだから騙されないでよぉ。」
由香は前方を見ながら忠告している間に、真理と並んで一人の男が歩いていた。男は真理に、
「どこのサークルにするか決めた?もしよかったら・・・・・」
真理の体は急に何かにさらわれる。
「無視、無ーーー視ー!!」
由香は更に真理の腕を強く引きながら、言い放って走りだす。
 サークル勧誘の波と一人の男の顔立ちがはっきり分らない程度まで離れたところで、真理は振り返る。すると
「俺ーっ、南 竜馬ー!よろしくーーー!!」
全身を使って手を振っていた。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



4話 2006年4月 光

 正門を抜けて帰路につく。
「さっきのヤツ、何なんだろっ?新手のナンパぁ?」
由香は真理へ問いかける。真理は、
「南 竜馬って人だっけ?悪い人には見えなかったけどな。」
「何いってるの?ああいうのが一番あやしいのぉ!」
由香は続けて、
「いい、真理。そう簡単に人を信用しちゃダメだよ。わかったぁ?」
真理は由香の忠告を聞きながら、実家から東京へ向かう日のことを思い出していた。

 真理を東京へ送り出すため、家族総出で玄関に立つ。
「忘れ物はない?大丈夫?」
と母。
「彼氏できたら、写メ送ってよね?!」
「遊びに行くんじゃないんだから。」
兄は冗談まじりの妹をしかる。そして父は、
「気を付けるんだぞ。東京の人を信用するな。」
と腕を組んで、背中を向けたまま言う。
「大丈夫!もしわからないことがあれば、すぐお父さんに連絡するから。」
父は頷いたようだった。
「よしっ、行ってきます!!」
真理は玄関を開け、大手を振ってすすむ。眩い光のほうへ・・・

 「ちょっと真理きいてる~?」
由香は、返事のない真理に問いかける。真理は、父の言葉を思い出し(あれ?すでにホームシック?)と自問していた。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



5話 2006年5月 漫才

 授業を終えたばかりの真理と由香のもとへ竜馬が訪れた。
「相変わらず、二人一緒だね~。まあ、二人以外でいるところ見たことないけど。」
「ほっとけっ。」
由香はすかさずつっこむ。

 入学式のとき不審者と思われていた南 竜馬は、真理と由香と同じ一年生だった。竜馬も地方から上京したばかりで、知人もいないためサークルにでも参加しようと思い、あの通りをうろついていた。地方出身者同士のにおいを嗅ぎわけたのか、その日以来、竜馬は真理と由香によく話しかけるようになった。

 「二人はバイトとかしないの?」
「う~ん、夏休みにバイトしようかなって思ってるけど。」
由香が答える。竜馬は眼を細くして、
「エロいバイトとかするんじゃないのぉ?」
と半笑いを浮かべながら、からかう。
「あんたとは違います!」
由香もまた、笑いながら否定する。
真理はその二人の会話を聞きながら、ある法則に気づく。ここ最近の由香と竜馬の会話は、お笑いのボケとツッコミに似ていると感じていた。二人のテンションが高いときには、夫婦漫才を想わせる絶妙なバランスで会話が成立する。もしかすると二人は、この法則に気づいていないのかも知れない。
真理は、テンションの上がる二人を期待しつつ、由香と竜馬の漫才を眺めていた。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



6話 2006年6月 定食

 曇りがちな天候が続くと気持ちが伏し目がちになる。気持ちが沈んでいる時に限って(事件?)ことが起きる。
 真理と由香が学食を食べていると、遅れて竜馬が由香の隣りへ座る。
「真理っていつも同じもん食ってない?」
「そんなことないよ、たまたまじゃない?」
真理は昨日と同じ焼き魚定食を食べていた。
 「竜馬くん、ちょっといい?」
一人の男が軽く会釈をして真理の隣へ座る。
「あの話はちゃんと進んでるの?何も言ってくれないから気になって。」
と竜馬へ深刻そうに話す。竜馬は、
「任せろって言ったろ?心配するなってぇ。それより弘志のほうはどうなの?」
「うん、こっちはなんとでもなるからさぁ。」
男は立ち上がり、椅子をテーブルの下へ運び、
「じゃあ、よろしくね。」
と立ち去った。由香は、男の後ろ姿を見送って、
「何、任されてるの?あたし達に言えないこと?」
竜馬は少し間をおいて、
「実はさぁ、弘志に頼まれて・・・、『弘志』ってさっきのヤツね。で、弘志に頼まれてるんだけどさぁ。」
「うんうん。」
由香はテーブルに両肘をたて、両手に顔をのせている。
「俺、今度コンパの幹事やることになったんだよ!しかも女子メンツ集めも。」
真理と由香は、同時に椅子の背にもたれた。竜馬は続けて、
「あまり考えずに引き受けたんだけど、女子メンバーが見つからなくて・・・。お前らじゃあ女友達いなそうだしな~。」
テーブルをたたく音が響き、
「お前らじゃあって!女友達くらい居るわよっ!」
由香は啖呵を切る。一瞬空気が止まり、
「俺の代わりに女子メンバー揃えてくれない?」
と竜馬は低姿勢な態度で頼む。由香は冷静を装って、
「わかった。」
と引き受けてしまった。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



7話 2006年6月 高校時代

 「あたしは・・・関係ないよね?・・・由香が引き受けたんだから・・・。」
真理の言葉に反応しない由香は、食べ終えた学食の食器たちを見詰めている。竜馬はすでに席を立っていた。
「ほら、竜馬も無理なら早めに断ってくれても良いって・・・。あたしから断りのメールしておこうか?」
「大丈夫。何とかするから・・・。まだ日にちもあるんだし・・・。」
竜馬が提示した条件は、7月下旬あたりに女子4~5人を選抜してくれ、との事。由香は、
「あと二人揃えれば、いいんでしょ?」
と重々しく話す。
「ちょっと待って!もしかして・・・あたしもカウントされてない?あたしコンパなんて行かないよぉ。」
由香の頭の中では、自分と真理で二人、『あと二人揃えれば』女子4人と構想。
「二人見つけるのも大変なのに真理が抜けたら、それこそ大事変!」
「ぜっったい無理!コンパとかそういうの苦手だって知ってるでしょ?!」
ここで余談。真理と由香は同じ青森の高校を卒業した。高校生時代、由香は意中の彼をゲット。その彼の男友達を真理に紹介したことがある。しかし真理と男友達はまったく発展しなかった。
「やっぱり断った方がいいんじゃない?」
真理の言葉を受け流し、由香は深々と考え込んでいた。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



8話 2006年7月 コンパ=バトル

 「あーあー。それではぁ~同じ学び舎をともにするぅー、同志の親睦を深めるため~、え~自己紹介から始めたいと思います。拍手!!」
弘志の仕切りで、男性4人女性4人の自己紹介が終わり、コンパはスタートした。
同じ大学の同級生に片っ端から声を掛けた由香。何とか2人の女の子に同意を得て、竜馬との約束通り4人の女性を揃えた。真理は結局、コンパに参加することになった。
 人数合わせの真理は、特に楽しいわけでもなく、ただ人の仕草や言動を聞きながら時間を過ごした。そして由香もまた、冴えない女の一人だった。コンパが始まると、弘志の計らいで男女交互に座ることになったが、竜馬の隣りに座った女性は、積極的に女特有の胸元をあらわに表現し、竜馬へすり寄っていた。竜馬も素直に受け入れ、由香も真理も見たことのない最高の笑顔を作り上げていた。小声で由香が真理へ、
「竜馬ってこんなだっけ?」
と呆れたように言う。真理は言葉を発さず、上半身で欧米並みのオーバーアクションをとった。
 コンパも中盤を迎え、仕切り屋弘志が、
「それでは席替えー。シャッフル、シャッフル~!!」
竜馬は席を立たなかった。由香は透かさず竜馬の隣りへ座る。女特有の胸元の持ち主は、席をひとつずれた。弘志は抜け目なく、お目当ての女性の隣りをキープする。真理の隣りへは、残りもの(同士)が座った。
「真理ちゃん?だよね?!」
「うん。」
「俺、朋生。あだ名はヤサ男!子供のころからモヤシっ子だったから。」
「ふ~ん。」
真理は軽く答えた。辺りを見渡し話題を探す。由香と竜馬のバトルのようなやり取りが繰り広げられているが、話題には向かない。少し空いた間を気にしてか、朋生が、
「真理ちゃんって格闘技好き?」
と唐突に、コンパの第一声にそぐわない事を言い出す。
「好きーーー!」
真理は無類の格闘技好きだった。想わぬところで共通の話題ができた真理と朋生は、コンパ終盤まで格闘技の話だけで盛り上がった。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



9話 2006年7月 渋谷

 弘志の掛け声でコンパは終わり、店を後にする。続けて、
「でぅわー、二次会と行きたいと思いますがぁ、カラオケ行きたい人っ?」
弘志が手をあげると複数の手もあがった。
「あれ、真理はカラオケ行かないの?」
と由香が声をかける。
「う~ん、やめとく。」
元々人数合わせの真理は、慣れないコンパの疲れもあり、カラオケで盛り上がる気力は残っていなかった。ふと真理の視界に朋生が映り、
「朋生くんは行かないの?」
「俺、カラオケ苦手だから。」
と、はにかんだ。横から弘志が話しかける。
「真理ちゃん行かないんだ?!じゃ次の機会に行こうよ。よろしく!」
弘志は満面の笑みで、右手の親指を立てた。
渋谷のスクランブル交差点で、カラオケに行く者行かない者と別れた。結局真理と朋生が帰る組で、他のメンバーは渋谷のネオン街に消えた。

 真理と朋生は駅へ向かう。帰る方向の電車がちがうため、改札前で別れることとなる。そこでメールアドレスの交換をした。
真理は電車に乗り込み吊革を握る。しばらくすると、バッグの中で携帯のバイブレーションが響く。周りを気にしながら折りたたみの携帯を開くと、先ほどメアド交換をした朋生からだった。

[今日は楽しかったです。格闘技の話ばっかりだけど(*^^)v]
[また新しい情報(格闘技)が入ったら連絡します。ではでは]
 着信

真理は折り畳み携帯を閉じた。揺れる車内は、今日も冷房がきき過ぎていた。

←ポチっと押してね!
この記事のトップへ



10話 2006年7月 大泣き

 真理はマンションに着くなりパソコンを開いた。自分で編集したアンディ・フグの総集編を観るためだ。コンパで朋生と話しをしている間もアンディの勇姿を時折、想い出していた。パソコンは親から貰った型の古いものではあるが、格闘技の映像などを取り入れるだけなら十分足りていた。
 パソコンを立ち上げて間もなく、玄関の扉を開ける音がした。真理は振り返ると、由香がまっしぐらにベッドへ向い、棒のように倒れる。
「あれ、カラオケ行ったんじゃないの?」
真理は不思議がって言うが、由香は何も答えない。『うぐ、うぐ・・・』と尋常ではない音を聞いた真理は、
「どうしたの?何かあったの?」
と由香にすり寄る。由香はうめき声をこらえて、
「真理ぃ、あたしって竜馬のこと好きだと思う?」
「うん!」
真理は即答した。
「やっぱり・・・。」
由香は少し間を置いて、
「それなのに竜馬は『俺達ずっと、いい友達で居られるよな』っだってぇ~。ヒック、ヒック。」
息を引きつりながら泣く由香を見て真理は、
「でも恋愛対象じゃないって言われた訳じゃないんだし。」
と応えたが、また少し間が空いて、
「一緒だよぉ~。」
と由香はフワフワの掛け布団に顔を埋める。由香の掃き溜めになった真理は、由香の頭を優しく撫でた。由香は少し冷静を取り戻した。
大きな間が空いて、膨れ上がった眼を持つ由香はゆっくりと顔をあげ、
「竜馬って鈍感なのかなぁ?」
真理は何も言わず、由香の顔を胸元にかかえる。しばらく時間を置いて由香は、
「朋生とは何もなかったの?」
さりげなく言い放った。
「何もないよ。」
と少し心揺られて答えた。
「それに恋愛対象にはっ!?」
真理は言いかけてやめた。由香は『恋愛対象』の言葉に触発されて、
「うわぁぁぁ~。」
と泣き始め、それは朝まで続いてしまった。

←ポチっと押してね!


nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。